Bäcklund変換を理解したい。
と思い、インターネットや書籍に目を通してきました。目を通した結果、Bäcklund変換とは、ある微分方程式の解から新しい解への変換のことのようです。その微分方程式は、可積分系とかソリトン方程式と呼ばれているようで、具体的なソリトン方程式であるKdV方程式に対して解の一つを代入してみようと思います。これがBäcklund変換の理解に役に立つかはわかりませんが、可積分系やソリトンの世界に馴染みたいので、やってみることにします。KdV方程式とは、以下の微分方程式です。
$$ \frac{\partial u}{\partial t} + 6u\frac{\partial u}{\partial x} + \frac{\partial^3 u}{\partial x^3} = 0$$
1-ソリトン解とは次の式です。
$$ u(x,t) = 2\frac{\partial^2}{\partial x^2} \log (1 + e^{2\kappa(x-ct+ \delta)})\quad (c=4\kappa^2)$$
1-ソリトン解をKdV方程式に代入して、方程式が満たされることを確認してみます。
KdV方程式の各項を正面から計算します。
始めは次のようにがむしゃらに計算しました。
第1項に1-ソリトン解を代入すると、
$$\frac{\partial u}{\partial t} =2\frac{\partial^3}{\partial t \partial x^2} \log (1 + e^{2\kappa(x-ct+ \delta)})$$
第2項に1-ソリトン解を代入すると、
$$6u\frac{\partial u}{\partial x}=6\times 2\frac{\partial^2}{\partial x^2} \log (1 + e^{2\kappa(x-ct+ \delta)})\times 2\frac{\partial^3}{\partial x^3} \log (1 + e^{2\kappa(x-ct+ \delta)})$$
第3項に1-ソリトン解を代入すると、
$$\frac{\partial^3 u}{\partial x^3}=2\frac{\partial^5}{\partial x^5} \log (1 + e^{2\kappa(x-ct+ \delta)})$$
しかし式がどんどん複雑になりそうです。
見ただけで複雑で嫌になりそうですが、
$$g =\frac{e^{2\kappa(x-ct+ \delta)}}{1 + e^{2\kappa(x-ct+ \delta)}} $$
とおくと、頑張って計算すれば、どの項\(g\)で表すことができます。
第1項
$$\frac{\partial u}{\partial t} =2(2\kappa)^5(g-3g^2+2g^3)$$
第2項
$$6u\frac{\partial u}{\partial x}=6\times 2^2(2\kappa)^5(g^2-4g^3+5g^4-2g^5)$$
第3項
$$\frac{\partial^3 u}{\partial x^3}=2(2\kappa)^5(g-15g^2+50g^3-60g^4+24g^5)$$
随分簡単な式になってくれました。
これら各項の和を計算しますと、
\begin{align}\frac{\partial u}{\partial t} + 6u\frac{\partial u}{\partial x} + \frac{\partial^3 u}{\partial x^3} =&2(2\kappa)^3 c(g-3g^2+2g^3)\\&+6\times 2^2(2\kappa)^5(g^2-4g^3+5g^4-2g^5)\\&+2(2\kappa)^5(g-15g^2+50g^3-60g^4+24g^5)\\=&0\end{align}
のようにKdV方程式が満たされることが確認できます。
何が面白いのですか。Bäcklund変換と微分幾何学が関係あるとどっかで見たので、そちらをあたりましょうか。計算が大変、もっと楽にならないのでしょうか。それともKdV方程式以外のソリトン方程式で試した方が良いのでしょうか。逆散乱法と並べて考えるべきでしょうか。散乱データやLax形式を見るべきでしょうか。KdV方程式は、非線形波動の一つであり、非線形波動はたくさんあります。たくさんある中で、何を見るのが良いのでしょうか。
Bäcklund変換の理解に役に立つかはわからないものの、可積分系やソリトンの世界に馴染むことはできたのでしょうか。これで少しでもBäcklund変換の理解が前に進めば幸いです。
コメント