倍数判定法

ある整数の倍数であるかを簡単に判定する方法は、小学生から中学生の頃に学校や塾で教えられます。3の倍数や9の倍数の見分け方を始めて知った時は、何て不思議なんだと感動した人もいたかもしれません。

以下に、一桁の整数に対する倍数判定法で、7の倍数以外を表にしてみました。7の倍数も似たような判定方法を考えることはできるのですが、その判定方法が複雑なので、楽な判定方法ではありません。

2の倍数1の位が偶数
3の倍数各位の数の和が3の倍数
4の倍数下2桁が「00」または4の倍数
5の倍数1の位が0または5
6の倍数各位の数の和が3の倍数かつ偶数
8の倍数下3桁が「000」または8の倍数
9の倍数各位の数の和が9の倍数

小学生の間は不思議な法則でしたが、中学生になると文字式を駆使して、この不思議な法則が成立することを証明できるようになります。

また合同式を用いると、倍数判定法がより簡潔に示せるようになります。合同式とは、

$$a \equiv b \mod 3$$

といったもので、aとbの3で割った余りが等しいという意味です。例えば、10と1は共に3で割った余りは1ですから、

$$10 \equiv 1 \mod 3$$

と表せるのです。

今回は、この合同式を駆使して、3桁の整数に関して3の倍数の判定法を説明してみましょう。3桁の整数の1、10、100の位の数をそれぞれ\(a_0,a_1,a_2\)としますと、3桁の整数は、

$$ a_0\times10^0 + a_1\times10^1 + a_2 \times10^2$$

と表されます。ここで上で記載したように、\( 10 \equiv 1 \mod 3\)ですから、

$$ \begin{align}&a_0\times10^0 + a_1\times10^1 + a_2 \times10^2 \\& \equiv a_0\times1^0 + a_1\times1^1 +a_2 \times1^2 \mod 3 \\&= a_0 + a_1 +a_2\end{align}$$

と計算できます。この式の最後の\(a_0 + a_1 + a_2\)は3桁の整数の各位の和ですから、計算した式は、3桁の整数とその各位の和の3で割った余りが等しいことを証明しています。3で割った余りが等しいければ、一方が3の倍数つまり3で割った余りが0であれば、他方も3の倍数つまり3で割った余りが0ですので、3の倍数判定法が証明されたことになります。

倍数判定法の証明から文字式や合同式を知る部分はまだ整数論の入り口です。どんどん奥へと進んでいきましょう。

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