「雨女なのか晴れ女なのか、云々。」

電車内。

「普通でいーよー」

「おつかれさまです🎵」

自宅最寄り駅で下車し、駅のホームから改札口へ向かっていると、そんな女性たちの会話、背後からが耳に入った。

「フィリピンでは、云々。」

「これこれ!」

背後なので見えないが、何かを指さしていそうだ。話の流れははっきりと掴めなかった。

「なんかいれた」

「さくま。いわもと。わたなべ。」

「でた!」

「何から何までありがとうございます。」ため息が出る。

「しらんこがはいってきて」

女性たちの声が遠ざかると、「ほっかほっか亭の釜揚げしらす丼」が不意に頭をよぎる。

改札を出ると、腕におしゃれなタトゥーをした男の人が駅近くのコンビニの前で、地べたに座り込んでいた。その前を通り過ぎ、しばらく歩いたら、自宅マンションに着いた。部屋に戻った。窓を閉じているのに、チュンチュンチュンとスズメの声が入ってくる。ゴミ箱には、ポッキー(カカオ60%)の空箱。

「ジャーンケーンポーン。あーいこーでしょ」

パチパチとフライものを揚げるような音がする。

日付が変わったら傘をもって、戸締りをして、また家を出る。ハンカチを忘れないように。

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